「氏家昂大・高橋悠眞 展」3日目終了しました!
床の間には氏家さんのシグニチャーとも言える大壺が鎮座しています。
こちらの作品ではいくつもの技法が同居し、とりわけ多くの情報量を持っていて、
惑星が衝突したかのようなダイナミックな動きのあるものとなっています。
ただ、その中でもきちんと全体が破綻なくまとまっているのは氏家さんの技量の賜物で、
見る角度によってまったく違う表情を見せながらもそれぞれが非常に魅力的です。
氏家さんは学生時代から音楽活動もしているのですが、
それぞれが独立しながらもアンサンブルとして成立させるバランス感覚は、
そのような経験と何かしら結びついているようにも感じます。
縁側には、高橋さんの「circulation」シリーズの中では一際大型の作品を展示しています。
実は、これは流木を3Dスキャンした上で3Dプリンターで出力したものに漆を塗布していて、
今回はじめて発表するものになります。
漆はそれだけでは自立したかたちを持つことができず、何かの表面に憑依してはじめて意味を持ちますが、
流木のかたちだけをなぞり別の物質に置き換えられることで意味がはぎ取られ、
何なのか捉えどころのない存在となっています。
高橋さんの好きなアニメーション映画からもインスパイアされて「ghost」という単語がタイトルに追加されていますが、
最近のSF映画でも、はっきりとした造形を持たず得体の知れないものに恐怖感を抱かせる作品が増えている印象があり、
そのような観点からも時代に共鳴していると言えるのかもしれません。
両者の作品に触れることで、工芸に留まらず他のさまざまな文化にまで想像力を働かせられるのも、
作品が持つ射程の長さを表しているのだと思います。
氏家昂大・高橋悠眞 展
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition
2024.5.18(土) - 6.2(日)
13:00-18:00
会期中無休
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