2024/05/31

「氏家昂大・高橋悠眞 展」残り2日です!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」14日目終了しました!

氏家さんの「織部漆朱塗中壺」は、幾十にも重ねられた釉薬と漆のレイヤーが、
ボディの造形を離れさらなる造形を作り上げています。
さらにそれがボディに施された赤漆により強調され、全体として他にはない表現へと到達しています。
引いて見てみても、近づいて見てみても、それぞれの視点から見所を感じられる、
とても興味深い作品です。

高橋さんの「flower」シリーズのスケートボードは、床の間にある「fake it」シリーズの激しさとは対照的に、
とても穏やかな表情を持っています。
花をモチーフとしつつ具象と抽象のあわいに踏みとどまりアンビヴァレントな表現となっているのは、
どの作品にも通底する高橋さんの強い姿勢を感じさせ、
それがスケートボードに施されることによりさらに確固たるものとなっています。

さて、早いもので会期も残すところあと2日となりました。
学生時代からの付き合いながら意外にも一緒に展示をするのは今回が初めてというお二人の、
相性抜群の展覧会をお見逃しのないようよろしくお願い致します!

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
オンライン販売:5.29(水) 19:00〜6.2(日) 18:00

2024/05/30

「氏家昂大・高橋悠眞 展」13日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」13日目終了しました!

高橋さんの「waves」シリーズは、杉板の上に変塗を施すことで木目を新たなパターンへと変容させています。
漆自体がかたちを持つことはないのですが、異なる色漆を何層にも塗り重ねて元の模様を強調し、
結果として別の様相を呈しています。
漆という素材は基本的に皮膜ですが、その存在が何かしらの媒体となることにより、
空間との境界面として中身の表れ方を変えてしまうところにおもしろさがあります。
このシリーズはよりその効果を端的に示しているのではないかと思います。

氏家さんは、最近ではひとつの中に異なる技法を併存させた作品のを制作されています。
通常では交わらないものをあえてコンテクストを剥ぎ取り一緒にする態度は、
産地から離れた土地で学び制作してきた氏家さんならではのやきものに対する距離感が可能にしているのかもしれません。
それは音楽で言えば既存曲をリミックスするような感覚にも近く、
これまであるものをフラットに解釈してその中から必要なものを選び取る、極めて現代的な感覚と言えると思います。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
オンライン販売:5.29(水) 19:00〜6.2(日) 18:00

2024/05/28

「氏家昂大・高橋悠眞 展」11日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」11日目終了しました!

氏家さんの花器は、「蛇蝎(じゃかつ)唐津」をベースとしながら釉薬の縮れを強調し、
さらに漆を塗ることで独特の表情を獲得しています。
さまざまなレイヤーを重ねることにより複雑な質感を作り出していますが、
同時に破綻なくきちんとひとつの作品としてまとまっているのは氏家さんの技量の高さの賜物です。

高橋さんのお椀は、白漆をベースとしたパステル調のものもございます。
一般的な漆椀のイメージから離れ、伝統的な技法に基づきながらポップさを持ち合わせており、
両義性のある表現が非常に高橋さんらしいと思わされる作品です。
刷毛目により生み出されるパターンが抽象画のようでもあります。

明日29日19時よりオンラインでの作品販売を開始いたします。
なるべく早くプレビューをご覧いただけるよう準備を進めておりますので、
もう少々お待ちください…!

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
オンライン販売:5.29(水) 19:00〜6.2(日) 18:00

2024/05/27

「氏家昂大・高橋悠眞 展」10日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」10日目終了しました!

高橋さんの「traces」シリーズのカップは個人的にも愛用しているアイテムで、
木地の木目と漆を塗る時の刷毛目が響き合い、色のレイヤーが重なって深みのある模様となっています。
とても軽くて保温性があり、木地が少し厚めに作ってあって割れにくくもあるので非常に使いやすいです。
日常生活において漆の器を使う場面が減ってきてしまっている現代ですが、
その中でも今の食卓に馴染むようなものを高橋さんは意識して制作されています。

氏家さんの湯呑は、縦長のプロポーションによって釉薬や色漆の表情が切り取られたかのようで、
その質感がダイレクトに伝わってきます。
比較的大振りですが手取りは軽く、よく手にも馴染むので、ついつい手にとってその景色をじっくりと眺めてしまいます。
また、並べてみるとそれぞれの違いが際立って表れ、そのバリエーションの豊富さがはっきりと目で理解できます。

さて、準備を進めておりましたオンラインでの作品販売ですが、
明後日29日水曜の19時からスタートいたします。
こちらの方も楽しみにお待ちいただければ幸いです。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
オンライン販売:5.29(水) 19:00〜6.2(日) 18:00

2024/05/26

「氏家昂大・高橋悠眞 展」9日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」9日目終了しました!

こちらも旧作ですが、高橋さんのお盆の上に氏家さんの酒器を載せてみました。
こうやって取り合わせてみると、氏家さんの釉薬の扱い方と高橋さんの漆の扱い方に
相通ずるものを感じとることができます。
その動きのあるダイナミックな表現方法からは、単に同じ色漆を用いているという共通点においてだけではなく、
伝統的な素材を使いながらもその魅力をより遠くまで伝えようとする強い意思を感じます。

さて、早いもので会期も折り返しを過ぎました。
この地域に限らず、なかなか他では観られない組み合わせの展示となっておりますので、
より多くの方々にご覧いただければ幸いです!

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/25

「氏家昂大・高橋悠眞 展」8日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」8日目終了しました!

旧作も交えながらですが、お二人の作品でお茶の設えをしてみました。
ひとつひとつがすでに十分な存在感を持っていますが、
取り合わせられることによってそれがさらに増幅され、独特の空気感をかたちづくっています。

お茶と言うと敷居が高く感じられ、また古いものだけに目が向いてしまいがちですが、
(もちろんその良さがあることは承知した上で)時代時代でその都度アップデートされています。
さらに言えば、実験的なお茶室空間に対しては、それに合わせた道具が設えられるべきで、
それぞれが独立して存在するのではなく、全体としてひとつのコンセプトを貫き通すことが、
本来的なお茶の精神に沿ったものになるのだと思います。。
また、茶道具は使い手によってまた別の姿を見せてくれると言うのも、ひとつのおもしろさではないでしょうか。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/24

「氏家昂大・高橋悠眞 展」7日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」7日目終了しました!
今日は気温も上がり、かなり暑さを感じる1日でした。

廊下の角には、氏家さんと高橋さんの作品を取り合わせて展示しています。
水しぶきが下から上へと弾き飛ぶように見える釉薬と岩肌のような部分を持った壺と、
木目の上に変わり塗りを施した水の流れを感じさせるような平面作品が、
二つの組み合わせにより滝壺をイメージさせ、涼やかさをもたらして幾分か暑さを和らげてくれます。
お二人の作品が、展示会場に居ながらにして別の場所に連れて行ってくれるかのように想像力を刺激してくれます。

現在オンラインでの作品販売の準備を進めております。
日程についてはまた追ってお知らせ致しますので、もう少々お待ちください。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/23

「氏家昂大・高橋悠眞 展」6日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」6日目終了しました!

残念ながら日が長くなり開廊時間中はこのような状態を観ていただくことはできないのですが、
暗がりの中にお二人の作品が浮かび上がる様子はとても美しいです。
鮮やかな色使いが周りの落ち着いた素材感に対して強調されて表れ、よりその存在感を強くしています。

そして漆の色味が共鳴し、それぞれの作品を引き立て合っています。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/22

「氏家昂大・高橋悠眞 展」5日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」5日目終了しました!

床の間には、高橋さんがスケートボードに漆を塗った作品が掛けられています。
漆塗りのスケボーはないわけではないですが、ここまでしっかりと作り込まれたものは
なかなかお目にかかることはできないと思います。
こちらの作品では、アクションペインティングのように漆をドリッピングすることで、現代的な表現を獲得しています。
工芸とストリートカルチャーを繋ぐ作家としても、ぜひこれからの活動に注目してもらいたいです。

氏家さんは、試行錯誤の中からさまざまな技法を生み出しています。
当初の目的から考えれば失敗と思えるような結果でも、その意味をあらためて捉え直すことによって
新たな手法として自分のものにしています。
その冗長性と見極めの鋭さが、氏家さんの表現の幅の広さにつながっているのだと思います。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/21

「氏家昂大・高橋悠眞 展」4日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」4日目終了しました!

高橋さんの「circulation」シリーズには、小さなタイプの作品もあります。
サイズが変わると受ける印象も大きく違っていて、
変塗による効果は薄れることなく、どこか時代や時空を超越したような、
懐かしくも新しいような不思議な物体のようにも見えます。
それはボディの形態と色の選択の絶妙なバランス感覚によってもたらされているのだと思います。

氏家さんは、多治見に移り住んでから志野にも取り組みはじめました。
志野は美濃で作られていた桃山陶の中でも特に格の高いものですが、
近年では地元で取り組む作家が減ってきてしまっています。
そんな中で違った角度からのアプローチにより志野を制作する方が現れたのは、
とても頼もしくまた今後が非常に楽しみでもあります。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/20

「氏家昂大・高橋悠眞 展」3日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」3日目終了しました!

床の間には氏家さんのシグニチャーとも言える大壺が鎮座しています。
こちらの作品ではいくつもの技法が同居し、とりわけ多くの情報量を持っていて、
惑星が衝突したかのようなダイナミックな動きのあるものとなっています。
ただ、その中でもきちんと全体が破綻なくまとまっているのは氏家さんの技量の賜物で、
見る角度によってまったく違う表情を見せながらもそれぞれが非常に魅力的です。
氏家さんは学生時代から音楽活動もしているのですが、
それぞれが独立しながらもアンサンブルとして成立させるバランス感覚は、
そのような経験と何かしら結びついているようにも感じます。

縁側には、高橋さんの「circulation」シリーズの中では一際大型の作品を展示しています。
実は、これは流木を3Dスキャンした上で3Dプリンターで出力したものに漆を塗布していて、
今回はじめて発表するものになります。
漆はそれだけでは自立したかたちを持つことができず、何かの表面に憑依してはじめて意味を持ちますが、
流木のかたちだけをなぞり別の物質に置き換えられることで意味がはぎ取られ、
何なのか捉えどころのない存在となっています。
高橋さんの好きなアニメーション映画からもインスパイアされて「ghost」という単語がタイトルに追加されていますが、
最近のSF映画でも、はっきりとした造形を持たず得体の知れないものに恐怖感を抱かせる作品が増えている印象があり、
そのような観点からも時代に共鳴していると言えるのかもしれません。

両者の作品に触れることで、工芸に留まらず他のさまざまな文化にまで想像力を働かせられるのも、
作品が持つ射程の長さを表しているのだと思います。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/19

「氏家昂大・高橋悠眞 展」2日目終了しました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」2日目終了しました!
今日はそれぞれの作家さんと別々の繋がりを持っていた方との思いがけない邂逅など、
いろんな話に花が咲く楽しい1日でした。

氏家さんは、貫入に色漆を染み込ませることで独自の表現を獲得しています。
伝統的な文脈を引き受けつつも、さらに自分なりの観点から現代性を生み出すことに強いモチベーションがあり、
その姿勢はとてもまっすぐで、そのパワフルさには感服してしまいます。
また、この技法を用いるきっかけに高橋さんも大きく関与していて、
長い時間を経て同じ空間で一緒に展示されるというのも、話を聞いているだけで感じる部分があります。

また高橋さんは、今回板の間では「circulation」シリーズをメインに展示しています。
こちらは流木に変塗を施している作品なのですが、使われなくなった材に価値を見出すこと、
それに対して漆という失われつつある文化によって新たな価値をもたらすことなど、
自然と人間の間を行き来しながら循環していく流れをイメージされています。
高橋さんはモノの造形自体は行なっておらず、わずかな厚みの表面だけを領域に
塗りと研ぎという行為のみによって表現されています。
それはモノに憑依するような感覚でもあり、表層と深層や形と中身など、
さまざまな事象について考えるきっかけを与えてくれます。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休

2024/05/18

「氏家昂大・高橋悠眞 展」はじまりました!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」本日よりスタートしました!
天候にも恵まれ、多くの方々におこしいただき感謝です。

今回お二人の直接のコラボレーション作品はありませんが、
氏家さんの茶盌に合わせて高橋さんが同じ色味の茶杓を制作してくださりました。
実際に茶盌に載せてみるととても相性が良く、これまでに見たことのないような雰囲気が出て非常に面白いです。

明日もお二人が在廊してくださりますので、制作にまつわる話など色々と聞いていただければと思います!

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
作家在廊日:19(日)

2024/05/17

「氏家昂大・高橋悠眞 展」明日スタートです!


「氏家昂大・高橋悠眞 展」設営完了しました!
お互いのエネルギーがぶつかり合う、とても迫力のある展示になったと思います。

学生時代を共に過ごしたお二人の、制作の方向性を決定づけた出来事など、
それぞれが影響を与え合ってきた長きに渡る経験が垣間見えて興味深くもあります。

今週末はお二人とも在廊してくださりますので、ぜひそのあたりも合わせて聞いてみていただければと思います!

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
作家在廊日:18日(土), 19(日)

2024/05/14

「天野裕夫 彫刻展」開催のおしらせ


(写真:二塚一徹)
天野裕夫さんの3年ぶりとなる個展を開催いたします。 
4年前、地元・大湫の御神木が豪雨によって倒れてしまったことを契機に、その存在を後世に語り継いでいくため
「兎塔プロジェクト」を立ち上げ、現在着々と準備を進められています。
地元に戻ってきてから起こった運命のような出来事に向き合うことで、
制作に対する姿勢がより明確になり、そのエネルギーは増すばかりです。 
今回も御神木をはじめ、さまざまな素材を組み合わせた作品が数多く並びます。 
拠点を移してから時間も経ち、変わった部分と変わらない部分を感じ取りながら
じっくりと展示をご覧いただければ幸いです。 

天野裕夫 彫刻展 
Hiroo Amano Exhibition 
2024.6.15(土) - 6.30(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
作家在廊日:15日(土), 16(日), 22日(土), 23(日), 29日(土), 30(日)

2024/05/05

「氏家昂大・高橋悠眞 展」開催のおしらせ


陶芸の氏家昂大さんと漆芸の高橋悠眞さんの二人展を開催いたします。 
学生時代共に学んだ二人ですが、異なる素材をベースにしながら、
同じ色漆を扱い伝統的な手法を用いて現代に生きる人間としての表現を追い求めています。 
氏家さんは数年前に美濃の地に移住し、これまでの制作を歴史と接続することで独自の世界観をさらに深めていっています。 
また高橋さんは、色彩や質感に変化を与え、これまでとは違ったモチーフを選び取り
漆という素材の新たなイメージを提示しようと試みています。
技術に立脚しつつ同時代性を持った互いの作品が共鳴し、
響き合う空間を体感していただければ幸いです。

氏家昂大・高橋悠眞 展 
Kodai Ujiie, Yuma Takahashi Exhibition 
2024.5.18(土) - 6.2(日) 
13:00-18:00 
会期中無休
作家在廊日:18日(土), 19(日)