2018/05/14

「伊村俊見 展」3日目終了しました!


「伊村俊見 展」3日目終了しました!
今日は天気も回復し、暑いくらいの陽気でした。
夏はもうすぐそこなのかもしれません…

伊村さんは土という素材と向き合いながら、ただかたちをつくるのではなく、
重力などの外的要因によってできるかたちを意識して制作されたそうです。
今回の個展のために伊村さんが文章を書いてくださったので、それをこちらに掲載いたします。
伊村さんの作品理解につながるかと思いますので、ぜひともご一読ください。


「スペース大原個展によせて」

「土」という素材は水を含むことで土の粒子が移動しやすい状態になり、可塑性を持つ。
その性質がさまざまなかたちに変化させやすい粘土として古代から使われてきた。
そのことはとても位相幾何学(トポロジー)のかたちのとらえかたを想起させる。
シリーズ「延」の時から位相幾何学に興味を持っていたが、
今回、そのなかのひとつである環(リング)状にするという決め事をして、
手びねり成形で制作したが、その際、様々なひもの積み方を試みた。
すると積み方によって力のかかり具合が変化し、様々なたわみや、歪みが表れる。
そこに眼を向けると、土の粒子の移動をより意識するようになった。
制作する過程で作り手の意図が当然働いているとはいえ、
「土」という素材を使った造形行為には、あらゆる自然の力が作用してくる。
たわみや、歪みを作品に取り込みながらつくられたかたちは、
私の意識と自然の力が作用するなかで生まれた偶然の結果ともいえる。
私のねらいは土から生まれたかたちが次の瞬間はかなく変化していくだろうことを体感すること。
それは「土」の粒子の移動があり、あらゆるミクロの粒子が今まさに動いていることを感じることである。
そしてそれは、安定したいという我々の思いとは別に日々刻々と変化し流動する自然や社会、
我々の存在のはかなさに思いをめぐらすことでもある。

2018年5月12日
伊村 俊見

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